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少女百景 微笑み狂奏曲

01 03, 2011 | Posted in 少女百景 | Thema 小説・文学 » オリジナル小説

2 Comments
ふと思いつきましたので、一息に書き上げました。
よく分かりもせずに女学園という世界を書くのは、かなり無謀だとは思いますが、何事も書いてみぬことには進歩ありませんからね。

花物語のような、どこかしとやかな感じが好きで、そこを意識して書いたのですが、うまくいったかはまた別の話。
現代の女学園で、袴姿が制服になったような仮想世界を想像してもらえばよいのかと思います。

また思いついたら少しずつ更新していきたいと思います。
他にも連載ものがあるので、いつになるかはわかりませんが……
基本1000~3000字ほどの短編です。(途中路線変更の可能性大)
参考に、今回は2000字ほどです。

登場人物は道子(みちこ)、雪子(ゆきこ)、姿子(しなこ)の三人で、道子視点です。(姿子って思いっきり「青い花」の影響受けてるのは秘密)
表立った百合ではないのですが、百合好きの方には通じるものがあるかと。

※一部改稿しました。公開直後で申し訳ありません。


【あらすじ】
艶やかな微笑みの雪子と、儚げな微笑の道子。
とある掃除の合間の会話。
それがやがては、学園内に狂喜の調べを轟かせようとは……



少女百景
~微笑み狂奏曲~


「道子さんって、悲しそうに笑うのね」
 雪子さんがこんなことを言ったのは、姿子さんと私とが、一緒に掃除をしていたときのことでした。
「そうかしら」
 姿子さんはきょとんとした顔で私を見つめました。雪子さんも、心の奥底まで見透かしてしまえそうな、汚れなき澄んだまなざしで私をじっと見ています。二人に見つめられこそばゆく思った私は、まだほこりで汚れた床の上に目を転じました。
「あら、恥ずかしがって。可愛いのね」
 雪子さんは、育ちのよさをこれでもかとばかりに振りまくように、手の平で口を包みくつくつと笑いました。
「悲しいといっても悪い意味では、もちろんないわ。儚げな、桜の舞い散るさまを彷彿とさせるような……そんな美しい微笑み。ああ、もう一度見れたなら、つぶさにあらわすことができますでしょうに。道子さん、またあの笑みを見せてご覧なさいな。私すっかりとりこになってしまったわ」
「私も見てみたいわ」
 姿子さんが興味深そうに目を細め、手を組みました。首をすこしだけ傾けるそのさまは、まるで無邪気な子供がおねだりをしているよう。そんな仕草をされては、さて、私も困ってしまいます。
「笑ってといわれても困りますわ。ぎこちなくなってしまいますもの」
「では、あなたが笑うのをずうっとこうして待とうかしら」
 言うと、雪子さんは近くにあった椅子に腰掛けました。そして学園一とも謳われる微笑を浮かべると、上目遣いで私を眺めました。まるで満開の桜でも眺める淑女のように、それはそれは見事な微笑み。
「恥ずかしいわ」
 私は顔をそむけようとします。ですが、雪子さんと姿子さんの捕らえるようなまなざしをあびてしまうと、その気も失せてしまいます。
 と、思わず私は苦笑いしてしまいました。
「あら、惜しい」
 雪子さんが残念そうに言いました。
「これが雪子さんのいう笑顔?」
「違うわ。でもそれに近いわね。もうちょっと自然な笑みなら良いのだけれど……」
 姿子さんと雪子さんが、品評するかのように語り合っています。まるで自分自身が一枚の絵になったよう。そんな華などあるでもないのに……。楽しげに語り合う二人を見ていたら、自然と笑みがこぼれてしまいました。
「ふふ」
 私はいとおしげに、ひと時の憩いの情景を眺めていました。
 そのときです。パシャリと廊下の方で音がしました。
「あらまあ、これはこれは」
 その音を合図にするように、二人は話を止めこちらに顔を向けました。姿子さんは手を叩いて喜んでいます。雪子さんはといえば、変わらずに妖艶(ようえん)な微笑みで私を私をみつめていました。
 と、パタパタと廊下を誰かがかけていく音が。あわてて私が飛び出ると、既にその影は曲がり角に消えてしまっておりました。
「とても素敵な笑みでしょう」
「ええ、それは一枚の絵のように」
 雪子さんの言葉に姿子さんが大きくうなずきました。
 おそらくは、あの影は写真部のお一人。
「なぜこんなことを」
 私が尋ねると雪子さんはまた、妖しげで、それでいて艶やかな笑みを浮かべました。どうも、私は彼女の笑みが苦手です。色鮮やかな花吹雪のおりに閉じ込められ、心の隅まで酔わされる心地がするのです。
「その笑みはある種の宝物のようですわ。私たちだけのものしておくのは、惜しくはなくて?」
 姿子さんが大きくうなずいて、雪子さんにつづけて言いました。
「そうよ。道子さんの微笑みは、まるで宝石の一瞬の輝き。ですから、形に残そうと考えられたのですね」
「そんな、私の意見は無しに、勝手では?」
 私は抗議しましたが、心の隅ではもう終わってしまったことなのだと、半ば諦めていました。
「ねえ、笑って」
 雪子さんがなでるような声で言いました。私はその声に導かれるように微笑みました。
 雪子さんも、鏡に映したように微笑をうかべました。
「こんな素敵な景色が見られるなんて、私は幸せものね」
 姿子さんがうらやましそうに言いました。
 そのとき、私はふと一計を思いつきました。ですが、ここで申し上げては楽しみがなくなってしまいます。
「雪子さん……」
「なあに?」
「ふふ、なんでもありません」
 私はせっせと箒をうごかしました。二人は時計を一度眺めて、はっとしてから、再び掃除をはじめました。

 雪子さんの、この世ならざる者を見たような表情は、なんとおかしかったことでしょう。きっといつまでたっても忘れません。
 その翌週、新聞部が発行した新聞には、私のあの微笑が一面の半分を占めていました。もう半分には、別の同じ表情を浮かべた少女の写真がのってありました。その微笑みの少女はというと、雪子さんその人。
 私はあの出来事があった後に、写真部の人に頼んで、雪子さんの写真を撮ってもらえるよう頼んだのです。
 二人並べてみると、驚いたことに一瞬どちらがどちらか分からなくなるほどに、似て見えました。
 廊下の掲示板に張られた一面を見て、少女達はうっとりと目を細めています。それが私を見てなのですから、当然恥ずかしい気持ちはあふれてきます。ですが、今はそれよりも心を占めるものがありました。
 さて、生徒取り巻く私に向かい、慌てた様子で雪子さんが歩いてきました。あくまでも、表立ってはしとやかに振舞いながらも、その内から漏れ出す焦燥の気に気づかぬ私ではありません。
 私はいつもの微笑みで彼女を迎え入れます。
 はて、何から話すとしましょうか。

   * * *

 妖艶な微笑みと、儚げな微笑み。奇跡のようなその取り合わせに、少女達は色めき立ちました。さながら協奏曲ならぬ狂奏曲といえましょう調べは、しばらく鳴り止まなかったそうな。


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2 Comments
ハムスター
01 04, 2011
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どうも、色々あって某学生15から改名してハムスターになりました。よろしくお願いします。

この話、百合好きにはもうたまりませんねw
こういうあまり表立った感じでない百合もかなり好物なんで楽しく読ませていただきました!

01 04, 2011
URL [ edit ]
ハムスターさん、コメントありがとうございますw
そちらの方がよいかもしれませんね。

今回は、あまり百合を意識しないで書きました。あからさまな恋愛模様は、どうも私にはあわないのかもしれまあせんwなんとなく、おしとやかな雰囲気が好きなんですよね。
楽しんでもらえたようで幸いです。
この雰囲気が好きならば、青い花と花物語も是非。マリみてなども多少意識しているんですよ。どう反映されてるんだ!って問われたら答えに窮するのですが。

吉屋信子先生成分を補給したら、別のお話も書きたいと思っています。

ではでは、名前が変わっても、これからもよろしくお願いします。
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百合と眼鏡が好きな人です。
日本語、和風なものも大好物。
掲載しているものは、主に百合もの、ファンタジー小説となっております。
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