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旅のカケラ ガレキの都 空を飛ぶ人

11 14, 2010 | Posted in 旅のカケラ | Thema 小説・文学 » オリジナル小説

1 Comments
「キノの旅」に影響を受けて書いた作品です。
空虚な物語、ダークファンタジー好きを、そのまま作品につぎ込んだと理解してください。

とある旅人のお話で、完璧にインスピレーションだけで書き上げた作品が中心となります。
基本短い作品が主なので、さくっと読めるかと思います。
今後どうするかは分かりませんが、百合ではありません。



旅のカケラ
~ガレキの都~


 狭い同心円状の砂漠を越えると、その中心部分に人気のない都の廃墟が見える。
 かつて門だったであろう、小さなガレキの丘を越える。その先の開けた場所に、一人の老婆がいた。
「こんにちは」
 旅人が声をかけるが、老婆は、まるで時が止まったかのように反応が無い。
 旅人は首をかしげると、ガレキ以外に見所のない都を歩き回った。誰にも出会うことはなかった。
 都の入口に戻ると、老婆の姿は無かった。足跡が残されていたので、旅人はそれを辿る。
 そこはガレキの山だった。一度見た場所だが、よく見ると山のふもと、その一部に人が通れるほどの隙間があった。足跡は一直線に、小さく開いた口まで延びている。
 うかがうと、中はドーム状になっていた。不気味な均衡を保って、ひとつの建造物をつくりだしている。天井を見上げれば、いつ崩れてもおかしくない様子だった。
 見回すと、辺りにはいくつもの墓標が立てられている。そして、自らも墓標となったかのように、あの老婆が立っていた。
「この都には、他に人はいないのですか」
 旅人は尋ねる。老婆は、ギクシャクと、まるで機械人形のように振り返った。
「死んだんだよ」
「なぜ」
「死んだんだよ」
「この都でなにが起こったのですか」
「死んだんだよ」
 予め、言うことが決まってるかのように、老婆は繰り返した。何を問うても答えは返ってこない。旅人は口をつぐんだ。
 しばらく彼女を見つめていると、不意に老婆は懐から一丁の銃を取り出した。震える手で構え、その銃口は旅人に向けられる。
「みんな生きるのに苦しそうだったから、私が殺したのさ。お前さんも苦しそうだね。今楽にしてあげるよ」
「生憎ですが、私は生きることに苦しみを感じたことはありません」
「嘘を言い! みんなそうやって自分をだますんだよ。心の底では耐えられないほどに苦しんでるんだ」
 旅人は、ふっと溜息をつくと老婆に言った。
「撃ってごらんなさい」
 老婆は引き金を引いた。弾は出なかった。
「随分と無駄撃ちしたみたいですね」
 旅人は踵を返した。ガレキの建物を後にし、門へと向かう。一度も振り返ることはなかった。
 狭い砂漠を越えると、一台の二輪車、それにまたがった若い女が手を振って待っていた。
 旅人は尋ねる。
「あの場所でなにがあったの?」
「さあね。昔大地震があったって聞いたけど、そのあとは知らないよ」
「ふうん」
 旅人は興味なさげに呟くと、後部座席にまたがる。女はエンジンをかけ、二輪車を走らす。廃墟はやがて地平線に消えた。




~空を飛ぶ人~

 少女が海の岸辺を歩いている。彼女は、身体に似合わない大きな荷物を背負っていた。その脇で、空を飛ぶ舟が群れをなして飛んでいた。
 その群れから、一つが離れ、少女の隣へ近づいた。鉄の舟に羽をつけ、器用にそれをはばたかせ、空中で停止していた。舟は、かなり古いように見えた。
「よう、じょうちゃん。一緒に飛んでいかないかい?」
 少女はふるふると首を振る。
「じゃあ俺の話だけでも聞いてくれよ」
 少女は、それにはうなずいた。
 男は語り始める。彼の話は、主に自慢話だった。少女は興味なさげに聞いていた。
「こいつに乗ってるときは、まるで鳥になったようでさ。まるで空を飛んでるみたいなんだよ」
「でも、機械なんでしょう」
「機械だろうがなんだろうが、こいつは俺の手足そのものさ。一度動かした瞬間に、まるで身体と一体になったかのように、空を思うがままに舞うことができるんだよ」
 少女は、あきれたような溜息をついた。
「お兄さんは、どれだけその舟に乗っているの」
「まだ半月もたってないよ。親父のお古なんだけどよ、まるで新品のような乗り心地さ。誰でも簡単に乗りこなせる。これだけ自在に操れるんだ。すごいだろ」
「うん、すごいね」
 明らかに嘘と分かる声音に、男はあきれたような顔をし、少女から離れていった。
「じゃあな」
 男は少女に手を振る。
 少女は、男の飛んでいった先を見つめる。
 やがて、突風が吹いた。
 鈍い音をたて、男の乗っている舟の翼が折れた。
 男は海へと吸い込まれるように墜落した。
 カモメが鳴いた。
 海は食事を終え、満足したかのように静寂だった。
 少女は再び歩き出した。砂をくつが踏みしめる音だけが海岸に響き渡る。
 砂浜の向こうに、何かが光った。
 少女がそれを拾い上げる。
 金属でできた物体は、何かのネジだった。 


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1 Comments

11 15, 2010
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似非店員:樹
百合と眼鏡が好きな人です。
日本語、和風なものも大好物。
掲載しているものは、主に百合もの、ファンタジー小説となっております。
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