灰羽連盟 二次創作 幸せの果実 第一話

10 21, 2010 | Posted in 灰羽連盟 | Thema 小説・文学 » 二次創作:小説

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巣立ちという言葉を聞いてどう感じるでしょうか。原作の意図から考えると、巣立ちとは祝福された灰羽の勲章。喜ばしいことに他ならないのです。
ですから、これをみて悲しいと思わないでほしいというのが私の願いです。
罪憑きや巣立ちなど、同人としては描きにくいところかもしれませんが、無謀にも挑戦。今後どう収めるか自分で心配になってきます。

【前作】
幸せの果実 第零話


【あらすじ】
双子の灰羽につけられた名。
オールドホームでの不安定な日々。
そして、巣立ちのときは訪れる。



幸せの果実 第一話
~灰羽・名前・巣立ち~


 双子の灰羽は、白い髪の色を除いたすべてが異なっていた。背の高さ、髪の長さ、そして羽の色さえも。そう、一人は罪憑きだった。
 レキやラッカのことがあったからだろう、私をはじめとしたみんなが、それでも二人を温かく迎え入れた。昔の私のように恐れることはなかった。
 二人は、繭から生まれてからしばらく目を覚まさなかった。その背から羽が生えるまで。
 はじめてのできごと、なにかいやな予感はあった。それが、まさか罪憑きの新生子が産まれるなんて……。
「あなたたちの見た夢を教えて」
 短髪の背の低い少女はクウに似て、一目では少年と間違えてしまうかのような灰羽だった。もう一人にすがりながら、こちらをにらみつけるようにしていた。おびえているようだ。それでも、彼女は一番に私の問いかけに答えてくれた。
「あたしは、雪の中を歩いていて、いつのまにか砂漠にいたんだ。一面砂で燃えているような暑さのなかで、雪が降ってたんだ」
 「不思議な夢ね」、と感想を述べると、すぐに名前を考えた。
 彼女の名前は砂の中の雪、砂雪(サユキ)となった。
「あなたは」
 長身、長髪、サユキとは正反対のみやびやかな風情をかもしだす少女は、歌うように語った。
「私は、ええと、そう。雪の中にいて。花を見つけたんです。それから……」
「それから?」
 そのつづきはないだろう。罪憑きは夢の内容を忘れる。しかし、彼女が語った内容は、そこまで詳しくないにせよ要点は得ていた。サユキといい勝負の内容だ。
 案の定、彼女の口からそれ以上は語られなかった。
 罪憑きの少女の名前は雪の中の花、雪花(セツカ)となった。
 セツカの黒い羽は、今はラッカがとってきてくれた薬によって、もとの灰色に染められている。二人が寝込んでいる時、ラッカは、すすんでこの役を買って出た。自分だけで看病するとも言ったが、そこはみんなでやろうと説得した。 
 ラッカは、レキのようになりたいんだろうと思う。でも忘れないで。私達がいるってことを。
 私の言葉に、ラッカはハッとした顔をして、ありがとうって言ってくれた。ごめんなさいと謝られるより幾分うれしかった。
 羽が生え熱も下がり、名前も得た。
 なし崩し的に光輪係となったヒカリから授けられた光輪は、問題なくくっついた。カナは、いつの間にかサユキと波長が合うようになり、よく時計塔やオールドホームを探検している。以前に比べれば、人見知りもずいぶんとましになった。
 しかし、セツカの存在だけが、このうまくいっている雰囲気のなかで、一人だけ別世界にいるように浮いているように思えた。
 なんとかしなければ。そう思うのだけれど……。
「あ、光輪が」
 ベットに横たわっていたセツカがつぶやいた。ちょうど私が彼女を看病していたからだ。セツカは生まれながらにして身体が弱かった。今も軽い風邪をこじらせている。
「ごめんね」
 私はそれだけをつぶやくと、そっとゲストルームから抜け出した。
 ああ、レキは怒るかなぁ。そりゃぁ怒るわよね。途中でほうっぽりだしたようなものだもの。
 なんでこんな時に巣立ちの時がくるんだろう。まだ何も安心できないのに。
 レキが呼んでいるのかもしれない。あとはラッカたちに任せようって。ラッカたちならきっと大丈夫だって。
 だとしたら……。
 ああ、正反対のことを考えている。
 レキが怒って? 呼んでいる? そんなのわかるはずないじゃない。
 私は、心の奥底で安心しているんだろう。きっとそう。
 だから。
 あとはお願いね。

 西の森の奥の遺跡。
 空から届く日差しはまぶしく、私を迎え入れてくれるようだった。
 静かに祈りながら、眠るようにまぶたをそっと閉じた。


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百合と眼鏡が好きな人です。
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