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ひだまりスケッチSS 「橘文布教活動その2」

10 16, 2010 | Posted in ひだまりスケッチ | Thema 小説・文学 » 二次創作:小説

1 Comments
ひだまりスケッチ、夏目視点のSS第二弾です。
この話いれないと、なんか矛盾生じちゃうな、と続きとして書いた話です。
百合成分は前より少ないです。続きありなので、そちらで一気に上げる予定です。
多分前作見ないと良くわからないと思うんで、あわせてご覧ください。

前作
「橘文布教活動」


【あらすじ】
沙英とのあのできごとから早数週間。
めげずに夏目は次の布教活動を始める。
そして出会ったのは!?
副題は「夏目運悪すぎ?」
?に意味があるんですよ。



~橘文布教活動その2~

 まったくバカなんだから。知っていたといっても、あれじゃ私に自分が橘文ですって宣言したようなものじゃない。隠したいんだったらもっと徹底しなさいよ。
 あれ? それとも、あれは沙英が、私が橘文の正体を知っているとわかっていたから言ったのかしら? それとも、私に知ってほしかったから、わざと言ったのかしら?
「どうしたの? 夏目? そんなにやけて」
 授業中である。隣の席の子に言われてはっとする。
「へっ? いや、なんでもないわよ!」
「それならいいけど」
 私があわてて手を振り取り繕うのを、彼女は怪訝そうな顔をして見つめていた。
 いけない、いけない。つい自分の世界に浸ってしまった。これというのも沙英がいけないのよ。人の気も知らないで、あんな言葉かけるなんて。
 ふふっ。かっこいいんだから。
「ほんとに大丈夫?」
 また破顔してしまった姿を見咎められてしまった。

     *

 もし、もしもよ。私だけが橘文を沙英だと知っていたら。これってものすごい深いつながりだと思わない?
 もう、半分両思いってものよ。あれっ? それって片思い?
 え? ヒロも知ってるかもしれないって? だとしても、私のこの愛を超えられるわけがないじゃないの。橘文に対する思いなら絶対に負けない自信があるわ。
 え? 沙英に対して?
 …………負けてるのかも……。

     *

 私は橘文の信者である。それゆえに常に橘文の作品の載っている雑誌は、月に三冊購入。布教用、保存用、鑑賞用である。もし単行本が出版されれば、十冊くらい買い集めて、配ってしまうだろう。それほどまでに橘文の作品が好きなのである。
 もっともこの思いには裏があるわけで……これはいまさら語ることもないだろう。
 沙英とのあのできごとがあってから、はや数週間。
 今月ももちろん、様々な店で月刊きららを買い集め(さすがにひとつの店で複数冊買う勇気はない)、友人らとまわし読みしたりして、布教活動に専念した。
「本当に夏目って橘文好きだよね。私も好きだけど」
「そうでしょう。本当橘文の小説って、心の奥底に響き渡るようなすばらしさがあるのよねぇ」
「それ、おんなじこと何度も聞いたよ」
 と、橘文好きがクラスの間でも増えてきたことを心から喜んでいるわけである。
 しかし、今月の橘文の短編は、今までにもましてすばらしかった。たった数十ページに私は涙した。
 表面では嫌味ばっかり言うも、本当は気遣ってくれる、そんなヒロインが描かれていたのだ。
 あれっ? これって……。
 なんとなく自分を重ねてしまったのだけど、まさか違うわよね。
 とにもかくにも、このすばらしさをもっと分かち合いたい。その思いは、火山が噴火するがごとくあふれ出した。思わず、新たに雑誌を二冊購入してしまったほどだ。
 これ、どうしよう……。
 親に進めるにはちょっと、といったものだし、でもでも、もっと広げたい。
 ということで、次の日の朝、誰もいない一年生の教室に私は侵入した。いや、夜ではないし、学校も開いているんだからのだから合法的侵入である。
 そして、これ見よがしに、月刊きららの橘文の小説の載っている頁を開いて、手近の机の上に置いた。
 もう一冊あるので、隣の教室でも同じようにした。
「あら、夏目さん。どうしてこんなところに?」
 ビクン、と飛び上がるように驚く。
 こここここ……この声は!?
「な、なんであなたがここにいるのよ」
「ちょっと野暮用で、ね」
 野暮用ってなによ? と問いかけたかったが、二つのお団子頭が特徴的のにこにこと微笑む彼女に、まるで蛇ににらまれているような状態に陥ってしまう。本能的に危険を察知したのかもしれない。
「ここじゃ一年生が来ちゃうから、場所を移さない?」
「うぅ……」
 納得できないながらも、従うしかなさそうだった。三年生二人で一年生教室にいるというこの状況を説明できる自信がない、というのも大きな理由だった。
 ヒロに連れられた先は、人気のない校舎の裏。この朝早くに来る物好きはいるはずもなし、声が校舎の中に聞こえる心配もない絶好の場所といえた。
 彼女は変わらぬ微笑を浮かべている。それがどこか不気味だった。
「で、なによ?」
 私はそっけなく訊ねた。できることならばはやく解放されたい。ここから逃げ出しても良いのだが、それではまるで、自分がなにか悪いことをしたように見えてしまう。
 おびえる私にヒロは、心震えるに十分なことを言ってのけた。
「沙英のこと好きなの?」
「えっ? ななななな、なんのことかしょれ?」
 あまりもの動揺に噛んでしまった。
「沙英が橘文だってことも知ってるんでしょう?」
 なんで、この温和な笑みを浮かべた少女は、そんな深いところまで知っているの? たしかに橘文を好きなことは、この奇怪な行動を見ればわかってしまうかもしれない。でも、まさかそこから、沙英が好きなことまでわかるなんて……。
 私は目を丸くして、何も言い返すことができなかった。それを肯定の意と取ったのだろう、彼女は、
「そんなに驚かなくてもいいんじゃない? 多分、あなたが沙英のこと好きだってことは、みんな知ってると思うけど」
「えっ?」
 ウ……ソ……
 ヒロは私の心の声を見透かすように言った。
「本当よ」
「そ……それを知って、私をどうするつもり?」
「まさか、取って食おうってわけでもないから、そんなにおびえなくてもいいわよ……ふふ。頑張ってね」
 彼女は朗らかに笑いながら言うと、「それじゃあね」と手を振って去ってしまった。
 一体なんだったのだろう。
 彼女の真意を知るのは、また後の話である。



「橘文の苦悩」へつづく




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1 Comments
mizuiri
10 23, 2010
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ちょこっと溜まった頃にこっそりと楽しませてもらってます。
ひだまりは本でしか読んでないのであまり語れる口ではありませんが、これからも楽しみにしてますね。
小説の方頑張ってくださいませ~。
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似非店員:樹
百合と眼鏡が好きな人です。
日本語、和風なものも大好物。
掲載しているものは、主に百合もの、ファンタジー小説となっております。
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