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砂時計の塔

01 24, 2013 | Posted in 短編 | Thema 小説・文学 » 小説

2 Comments
 たまたま、pixivの小説投稿作品を見ていたら、BOX会話劇なるタグを発見しまして、投稿してみました。企画ページはこちら。投稿作品は、こちらとなります。投稿ページ自体、無料閲覧可能サイトですので、こちらでも載せたいと思います。お好きな方でお読みください。
 会話劇って、なんだろうと思い迷いに迷った作品となります。とりあえず、会話増やしとけば、それっぽくなるかなという、安直甚だしい考えの元生まれたものでも……
 字数はおよそ、4000字、はじめは百合にするつもりはなかったのですが、女の子二人主人公にした時点で無理でした。

【あらすじ】
 二〇一X年、レイカとアカリは時の止まった塔に閉じ込められる。毎日決まった時間に、塔のてっぺんに灯りをともす日々。そして、時は過ぎてゆき……



~砂時計の塔~

 おそらく二〇一X年。私たちは、塔に囚われた。この時代であることに意味はない。きっかけが何だったかのかも、今では思い出せない。確かなことは、この塔に入ったら二度と出られないということ。そして、塔の中では時間が止まっているらしいのだ。
「身長がこれ以上伸びないなんて、憂鬱……」
 と、同居人のアカリは、殺風景な部屋に置かれた巨大なベッドの上で転がりながら嘆いた。彼女の身長は言うのも哀れになるほどであった。不幸なことに、ここでは、いくら牛乳を飲んだって、太ることも、身長が伸びることもない。当然のこと、老いもこの塔の中では起こりえない現象である。
「アカリはそのままでいたほうがいいよ。それよりの私の部屋に来て。あなたなら、人形としてぴったりだから」
 私は、ピンクの花柄ベッドの上に腰かけ、眼鏡のレンズ越しに本を眺めながら言う。記念すべき10個目の眼鏡で、視界は良好だった。
「そんな少女趣味全開な部屋、ごめんだっての。それを中和するために、こっちはシンプルな部屋にしてるってのに」
 私たちの部屋は、塔の最上階の部屋に一室だけ。それを真ん中で区切って使っている。はじめは、本当に何もない、電灯と暖炉だけの空部屋だった。その状態で生活しろといわれたら、すぐさま窓を開けて飛び降りるだろう。しかし、幸いなことに、万能速達の宅配サービスAMAZ●Nがあるおかげで、家具にも、本にも、眼鏡にも不自由しない。
「にしても、どうしてこんな建物つくっちゃったんだろうね。おかげで、街が変わっていくのが見れて、楽しいけれど」
「それだけでよく飽きないよね」
「昔から電車の車窓から景色見るのが好きだったからね。とくに高架の線路から街を見下ろすなんて、最高」
「身長が低い分、高いところが好きってこと?」
「今度、プレス機注文しよっか」
「あらあら、怖いこと」
 笑いながら、窓の外に吊るしてある懐中時計を見やる。
「あれぇ、もうこんな時間か」
「アカリと会話してると、バカバカしくて、本当に時間が早く感じられる」
 彼女は無視して、屋上へと向かう螺旋階段に足をかける。
「つれないのね」
 アカリについていきながら、少しだけ苦笑いした。
 塔の中を荘厳な鐘の音がこだまする。時を知らせ、私たちを急かすための音だ。ごおん、ごおん、とどこか寂しげな鳴き声を奏でている。
「外の人には、どんな音に聞こえるのかな」
 あるいは、聞こえる人がいれば。
「さあね。あたしには、髭もじゃもじゃの、いまにも死にそうなおじいちゃんが恨み言嘆いてるようにしか思えないけど」
 階段は短いから、会話もすぐに終わってしまう。人一人がやっと通れる扉を開けると、目の前で、大きな鐘がひとりでに揺れていた。その向こうには、空がある。見下ろせば荒地を挟んで街が見えた。少しずつ成長していったビル郡は、山と背比べできるくらいに高くなっていた。
「レイカ、なにしてんの。まずは仕事、仕事」
 アカリは屋根裏部屋へつながるはしごを、ためらいなくのぼる。吹き飛ばされそうなほど強い風に、彼女の短い髪が歌うように揺れていた。
「はじめは怖がってたのにね」
「何か言った!?」
「なんでもない」
 私たちの仕事は、この塔に、一日一回光を点すこと。鐘の鳴ってる間に、屋根の中の部屋にある、巨大な蜀台に火を灯す。
「これするの、何回目だっけ」
「さあね。百回数えたあたりからどうでもよくなっちゃった」
 部屋の隅には、小さな蜀台に灯された、消えることない種火がある。そこから松明に火をもらい、二人同時に中央の蜀台に投げ入れる。
「レイカ、早く!」
「わかってる」
 アカリの差し出す手に引かれ、逃げるように鐘のある場所へと戻った。
 風がやんでいた。息を止めたように静かだった。
「見える?」
「うん、見えるよ。一番星」
 私が指差す方向を、アカリは確かに見つめていた。
 夕闇に沈もうとする空を、突如まばゆい光が包み込む。間近で見たら、一瞬で視力を奪われてしまいそうな強烈な光。ちかちかと、何度も空に放たれては吸い込まれていく。
「あれってさ、カメラのフラッシュに似てるって思わない」
「何を撮ってるの?」
「この星の一生を、じゃない」
 アカリは散歩するように、鐘の周りを歩いていく。
「落ちるよ」
「だいじょーぶ。あっ、レイカ! 人が見えるよ!」
 この近くに人が来たことは、数えるほどもない。つまり塔に閉じ込められてから一度とない。
「次の灯台守だったりして」
「でも、離れていくみたい」
「えー、残念。一緒にお茶会でもしたかったのに」
「止めておきなさい。アカリじゃあまりにも場違いよ。それに、お菓子食べたいだけでしょう」
 彼女がムッとした顔を向ける。
「そんなことばかり言ってると、いつかここから落としちゃうよ」
「それも……いいかもね」
「えっ?」
「アカリが落してくれるんでしょう?」
「…………」
「きっと気持ちいいんだろうなぁ。風を全身で受けて、鳥になった気分になれるかも。そして地面に帰っていくの。自然と一体になれる。これって素敵じゃない?」
 アカリは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。いつもの強気な彼女から想像できないくらいに、顔をゆがめていた。そんな彼女を見るのが、私はたまらなく好きだった。世界の変化など、些末な事柄でしかない。
「バカね。嘘よ」そういうと、彼女はホッとした顔を浮かべる。「きっと痛いし、汚れてしまうから」
 風がまた強くなってきた。あたりは暗く、天井の星々は、すっかりお目覚めのようで、いくつもの星座を描いていた。
「空に近いだけ、星も綺麗だね」
「ええ……。まぶしいくらいに」

   * * *

 千年くらいたったのかな。まぁ、それくらい後のこと。
 相変わらずあたしたちは、歳もとらず、灯台のような塔の灯りを付ける日々を過ごしている。
「いろんなことがあったねぇ」
 寝転び、和製人形のような端正な顔を見つめる。
「どんなこと? 私は興味がないから、端的に説明してちょうだい」
 はじめてみる眼鏡の奥の瞳は、活字の上を一定の速度でなぞっていた。
「また、新しい眼鏡手に入れたんだ。これで何個目?」
「あなたの身長のcmを個数にしたくらい」
 彼女の言葉は剣山のように針だらけだ。
「アカリは、コンタクトにしたほうがうれしいの?」
「いんや、眼鏡のほうがレイカらしくっていいよ。今度のも似合ってるよ」
 これだけ一緒に過ごしていると、彼女の言動にも慣れてくる。そして、ほめたときにレイカが浮かべる顔が、とてつもなく好きなのだ。
「顔、赤くなってるぞ」
「単なる、眼鏡による光の屈折よ」
「さすがに苦しいと思うなぁ」
 毎日いつも、こんな調子の会話。話は脱線するし、からかっては、悪口言い合って、結局は笑っておしまい。どうでもいい会話の数々。時間があるからできることだ。あたしたち以上に暇な人がいたら教えてほしいくらいだ。
「さて、もう年数数えるのも止めちゃったから、随分と敵当になっっちゃうけど。塔に入ってから三百年後くらいには、みんな、空飛んでたね」
「そういえば、そうっだった。あれは、うっとうしかったよね」
「そうそう、塔に近づいては、なぜだか打ち落とされて、まるですぐ近くで花火上げられてるようだった」
「それも、いつかやんで、アカリ、随分と寂しがってたよね」
「なんだ。レイカ、結構覚えてるじゃん。それから五百年くらい後だったかな。やっぱりはじめちゃうんだね」
「戦争?」
「そう。せっかく建てた建物が、どんどん壊れていって、せっかく夜景が綺麗になった頃だったのに」
「おかげで、星がくっきり見えるようになったでしょう」
「そうだねぇ」
 いつものレイカだったら、ここで「低い建物ばかりになって、低身長のアカリにはむしろ気分がいいんじゃない」とでも言うところなのに。最近彼女の言葉が少し丸くなってきたような気がする。
「それにしても、どうしていつもいつも戦わなくちゃ済まないのかな。いまだにわからない」
「誰だって、食われたくないからねぇ。怖いんだよ。戦うのより、支配されるのが。まぁ、乙女なレイカにはわからないか」
「わかったって何も変わらないよ。それで、今は人がだぁれもいなくなっちゃんだけど、どうして?」
「そりゃ、こんな廃墟に住みたくないからね。みんな空に飛んで行っちゃった」
 レイカは、パタンと音をたてて本を閉じる。あふれ出しそうなくらいの本棚を見つめて、
「結局、誰も来なかったね」
 と、搾り出すように言った。
「うん……」
「ねぇ、アカリ」
「なぁに?」
「どうして、私たちまだ生きてるの? どうして、こうやって話すことができるの?」
「わからないよ。きっと、それが答え」
「そうね。科学的に証明できるって奴がいたら、まだ夢のほうがマシよ、って叫んでやる」
 AMAZ●Nは、人のいなくなった世界でも、配達を続けてくれた。同じような生活。地球が滅びてからは、一番の楽しみの世界観察もできなくなってしまった。
「飽きた?」
「うん」
「じゃあ、ナイフでも頼んで、一緒に刺し合おうか。それとも、首を吊る? 塔から落ちる?」
 あたしは静かに首を振る。
「やめちゃおうよ」
「何を?」
「仕事。もし、灯りをつけなかったらどうなるか、試してみたくない?」
「アカリがそうしたいのなら、いいよ」
 あたしは、「ありがとう」と呟き、電灯を落した。鐘がなり始めるのには、まだ時間がある。陽は既に傾いていた。
「冬、なんだね」
 レイカが、カーテンを閉める。あたしも同じように閉めると、眠気を誘うには丁度いい暗さになった。
「それじゃ、お休み」
 目を閉じ、意識が薄れる中、あたしはこの塔の名前を思い出していた。
『砂時計の塔』
 ひっくり返すのをやめたら、さて、どうなるのだろう。



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- Comments
2 Comments
楓良新
12 05, 2013
URL [ edit ]
はじめまして。訪問者リストから伺いました。
百合系を書いている事で、来てみました。私も一応短編でそれらしきものを書いています。

塔に閉じ込められてはいるけど、なんか悲壮感がなく、二人ともそれを前向きに捉えてるなって思いましたね。
千年も生きてるなんてどんだけーって思いますよ。この二人はいったいなんだって思いますね。

千年も経てば時代は変わるだろうし、塔も壊されてるんじゃないかなって思ったりしました。

会話って自分もよくやってます。会話ってキャラの特徴を掴むのに、重要かもしれませんね。

私は私的な事も結構言いますので、鍵コメにする場合もあります。鍵コメにすると返信がない事がたまにあるので、鍵コメOKかを最初に確認するようにしてます。鍵コメにすると返信する時は公開にしなきゃいけないので、気を使うのも理解できます。
今回は挨拶と言う事で、公開コメにさせていただきます

12 07, 2013
URL [ edit ]
はじめまして、訪問と、感想ありがとうございます。

普段はここまで会話重視な作品は書かないのですが、会話劇ということで、このようなことになりました。
会話の中に情景を織り交ぜたりとか、良い経験でしたね。
それこそ、囚われた当初は悲壮感漂ってたに違いありませんが、やはり時というものは人をなまけものにしてしまうのだと思います。

塔の設定は、もろファンタジーなので突っ込まれると苦しい所があります(汗)
このへんてこ具合を楽しんでもらおうということなので……
ただ、納得させられるだけの世界観の構築は、必要なのでしょうね。反省なのです。
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百合と眼鏡が好きな人です。
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掲載しているものは、主に百合もの、ファンタジー小説となっております。
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