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塔を横目に

05 15, 2011 | Posted in 掌編

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 習作です。前回、期間限定で公開していたものも、この枠に入れておきました。完璧に思いつきだけで書いたので、読み飛ばしていただいても構いません。ただ、書いたものをしまいこんだままにしたくなかっただけです。1000字足らずの掌編で、すぐ読み終えられるかと。


~塔を横目に~

 私の住む街には塔が建っています。天を突き刺すかのような、高い塔です。
 時が移ろうと、その節目に、かの動かぬ巨人は淡い光を放ちます。私は塔の発光を眺めるたびに、綺麗だなと思います。心温まるとか、趣があるとか、幾多もの表現が思い浮かぶのですが、どれもちと合いません。ですから私は、全部あわせて、
「綺麗」
というのです。
 私の隣を一人の少女が歩いてます。彼女の右手は私の左手とつながっていました。
 彼女の手は、それはそれは温かく、羽毛を触っているみたいに柔らかく……。熱は触れると移動して、やがて互いに等しくなるといいます。こうしてずっと彼女に触れていれば、私も彼女と同じ温度になるのでしょうか。
「手をつないであの塔が光ってるのを見るとね、両想いになれるんだって」
 ふいに彼女が、歌うように、澄んだ声で言いました。
「私たちにも効くのかな」
 あわく輝く尖塔を、脇に見、私は呟きました。
「効かなくてもいいじゃない」
「……どうして?」
「もう、両想いなんだから」
 私は「そうだね」とうつむくようにうなずきました。今、傍から私を見れば、きっと熟れた果実のような頬をしているに違いません。
 口に出すのもためらうような、恥ずかしい台詞を、いとも簡単に紡いでしまう彼女に、羨望の心を抱くのは、至極当然のことでした。
「あの塔の中には、誰が住んでいるんだろう」
 私は首を傾げ、「あんな上に住んでたら気持ち悪くなりそう」と言いました。
 彼女は楽しそうに笑って、「高所恐怖症だものね」と言いました。
「ねえ、もしあそこに行きたいって、あたしが言ったら、どうする」
「ついていくよ」
「じゃあ、あの上から飛び降りたいって言ったら?」
「一緒に落ちる」
「じゃあ、行かない」
「うん」
 こうしてる時間が一時でも長く続くのなら、私たちは迷わずそちらの道を選びます。これまでも、これからも。
 塔が寂しげに、ちかちかと瞬いていました。
 さようなら、と私は手を振ります。
 やがて塔は光を絶やし、闇に飲まれて見えなくなりました。
 空に一粒映える一番星見て、彼女は一言、
「あっちのほうが綺麗ね」


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似非店員:樹
百合と眼鏡が好きな人です。
日本語、和風なものも大好物。
掲載しているものは、主に百合もの、ファンタジー小説となっております。
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