魔法少女まどか☆マギカ 二次創作 小さな願いごと

04 30, 2011 | Posted in 魔法少女まどか☆マギカ | Thema 小説・文学 » 二次創作:小説

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 魔法少女まどか☆マギカのほむまど的二次創作となります。なんでこの二人にするかといえば、眼鏡好きを公言していることから、お分かりですよね。最初はギャグで突き通そうと思ったら、なんだか真剣な話に。本編がトゥルーエンドとすると、こちらはほむまどハッピーエンドを目指して書きました。
 ちなみに字数は7000字ほどです。念のため、ネタバレ注意です。


【あらすじ】
 何度繰り返しても守ることが出来なかった。
 それでも歩みを止めることは決してない。
 ただひたすらまどかのために、戦いつづけるほむら。そして、まどかも……
 二人の心を繋ぐもうひとつの結末。


~小さな願いごと~

 静かな夜だった。世界中の誰もが死んでしまい、一切の音が消し去られたかのような。
 禍が生じる前というのは、得てしてこのような不気味な静寂に包まれるもの。
 明日、ワルプルギスの夜が現れる。
 何度時を繰り返しても、一人の力では倒すことの出来なかった魔女が……。まどかと力を合わせ、何度かは滅ぼすことができた。しかし、その度に彼女は魔女の呪いを受け、自らの力を使い果たし、彼女のままにあの夜を超えることはなかった。
 まどかが無事でいてくれればそれでいい。たとえ自らが魔女に成り果てようとしても、まどかが生きている世界が残っていてさえくれれば、喜んでこの命を捧げよう。
 だが、最後の最後で、いつも私の前には壁が立ちはだかる。天まで届こうかという壁。決して壊すことも、乗り越えることも出来ない壁が。
 希望などないのかもしれない。過去を変えるなんて大それたこと、できないのかもしてない。何度も諦めかけた。その度に、まどか……ただあなた一人のために立ち上がり、時をさかのぼった。
 立ち止まったら、絶望に、悲しみに、この運命への恨みに心が飲まれてしまうから。
 わずかに残った道標。私を導き、動かしてくれる大切な人。
 それがまどかだった。
 夜。彼女が私のもとへ訪れた。もう会えなくなるかもしれない。また時を戻し、今の彼女と別れなくてはならなくなるかもしれない。そんなことを考えると涙が零れそうになる。だけど、必死になってこらえた。弱い自分を見せたくなかった。
「これが……ワルプルギスの夜?」
 そういえば、まどかが私の部屋を訪れるのは、この時間軸においてははじめてだった。そうか、これまではもっと早く仲良くなって、何度も一緒にこの部屋を訪れていた。
 繰り返す度にまどかとの距離が開いていったのだ。
 私はまどかに頷く。己の心情を察せられないように、表情は一切変えずに。
 忌々しい魔女。倒す術は予め備えてきた。
 私は一人でも倒せると言った。もしかしたら勝てるかもしれない。これは自分への言い聞かせだ。諦めないための……。
 まどかは涙を流し、かすれた声で言う。
 信じられない、と。
 嘘をついているって思いたくない、と。
 そんな、悲しそうな顔をしないで。
 あなたの笑顔が、……私の希望なのだから。
 耐えられなかった。胸のうちよりこみ上げる想いは止め処なく、箍(たが)などとっくに壊れてしまっていた。
 まどかとの、この小さな距離さえも永遠に思え、私は彼女のもとへと駆け寄る。背に手をまわし、彼女の体温を感じる。
 懐かしい。
 愛おしい。
 一ヶ月間の疎遠は、私にとってはあまりにも長すぎた。
「私ね……」
 いままでのことを、すべて彼女に打ち明ける。未来から来たこと。あなただけのために時を繰り返してきたこと。こらえていたはずの涙がいつの間にか頬を伝っていた。
「変だよね。気持ち悪いよね」
 時計にたとえれば私は長針でまどかは短針。一回時を巻き戻すと、私の針は進んでしまい、距離は開いていく。時計なら一回りすれば元の場所に戻る。だけど、この時計はいじわるで、とてつもなく大きい。何度針を進めても、元の位置に戻ることはない。
 二人の距離は、ただ遠くなるだけ。
 うしろで、碇(いかり)型の振り子が音を立てて揺れている。秒針のリズムで、時を刻む。一秒一秒、明日へと近づいていく。
 過去……というとおかしいか。捨て去っていた時が、私の姿が映し出される。
 私が私であったことを忘れないために、空に浮かべた画廊。二度と同じ結末を繰り返さないための戒めでもあった。
 まどかに告白するあいだ、彼女は口を閉ざしていた。けれど、その映像が映し出された途端、なぜか目の色が変わる。
「あれっ? ほむらちゃんて眼鏡かけてたの?」
「えっ? ……ええ、そうよ。それがどうしたの」
 まどかは突如私を押し離し、きっと強い視線で見つめた。
「なんで外しちゃったの?」
「……自分を、変えたくて」
「だからってなんで眼鏡まで外しちゃう必要あるの!? 三つ編みまで解いちゃうなんて、なんでそんなもったいないことしちゃうの!?」
 いきなり大きな声で訴えるまどかに、わたしはうろたえる。
 この子は突然何を言い出すの?
「ほむらちゃん。私、決めた。魔法少女になる。叶えたい願いができたの」
 話が読めない。いったいあの流れからなんでそんな話になるの。
「だめよ。それじゃあ、なんのために私は……」
「私ね、気づいたの。なんで別の世界では、前にほむらちゃんが見てきた世界ではこんなに二人が仲良かった理由に。時がずれてるのなんて関係ないよ。だって、ほむらちゃんが、本当の気持さえ見せてくれれば、私はいつでも答えたんだから」
 それじゃあ、私はとんだ回り道をしてきたっていうこと?
「君がその気なら、僕はいつでも準備ができているよ」
 どこから入り込んだのか、キュウべえ、否、インキュベータが、相変わらずの仮面をかぶったような無表情で姿を現した。内心ではほくそ笑んでいるに違いない。
「君ならばどんな途方もない夢でも、夢でなくすることができるだろう。さあ、聞かせてごらん。魂を差し出し、君は何を受け取る」
「まどか、そんな、だめよっ!」
 私は涙ながらに叫ぶ。まどかの肩をつかみ、思いとどまるようにと、すがるように見つめる。
 だけど、彼女は首を横に振る。
 私の手を自らの手で優しく包み込み、そっと離していく。
「大丈夫だよ。心配しないで」
 彼女の視線は本気だった。
「キュウべえ……」
 もはや、まどかを止めることはできない。たとえここで無理にでも、あの白い動物の息の根を止めるかして、さえぎったとしても、まどかは他のインキュベータと契約してしまうだろう。
 まどかを、救えなかった。
 彼女は一度深呼吸してから、迷いなく言った。
「私の願いは……、ほむらちゃんがあの三つ編み眼鏡姿に戻ってくれること」
 聞き間違い?
 まどかは今なんて言った?
 あ、そういえばさっきも、似たようなことですごい剣幕で迫ってたような……。
「そ、そんな願いでいいのかい?」
 さすがのインキュベータも、困惑を隠せない様子。
「私はね、ありのままのほむらちゃんがいいの。強くなくたって構わない。容姿を変えることで、自分を隠してしまうのなんて、そんなの絶対に間違ってる。ほむらちゃんは、ほむらちゃんのままでいいんだよ」
 優しく微笑むまどかを見、私は夢から覚めたような心地がした。
 ああそうか。簡単なことだったんだ。私が、自ら彼女を遠ざけていただけだったんだ。
 私は、まどかのためだけに尽くしてきた。そして今、まどかも、私のために。
 その途方もない可能性を、彼女は私にすべて注ぎ込んでくれた。そのことに、心の底から想いを込め「ありがとう」と呟いた。
「わけがわからないよ」と言いながら契約を行うインキュベータ。あとで風穴開けてやる。
 桜の花びらのような色のソウルジェムを手に、まどかは優しく微笑んだ。
「やっぱり、そっちのほうが似合ってるよ」
 私は照れながら、赤い縁の眼鏡の位置をすこし直した。
 なんだかとても懐かしい気分になる。後ろで三つ編みに結わえた髪は少し重くて、なんだか新鮮だった。
 改めて繰り返してきた時間の長さを思い知らされる。
 浮かぶ額縁が鏡となって私を写し出していた。
 そっか。これが……私。
 鏡の中の私に向かって心の中で「おかえりなさい」と呟いた。
 泉が湧き出るように嬉しさがこみ上げてきた。
 だけど、これではまた同じ結末をたどってしまう。
 私が不安を告げると、まどかは子どもをあやす母親のように頬を緩める。
「大丈夫だよ。簡単なことだったの。あとは私が魔法少女になっちゃえば何とかなるって気づいたの。ねえ、ほむらちゃん。もうあんな戦い方はやめよう。せっかく魔法少女になったのだから。私が力を貸してあげる」
「信じて……いいの?」
「うん。もちろん。あ、そうだ。最後に確かめたいことがあるの。
 ほむらちゃん……私のこと、好き?」
 首をかしげ訊くまどかに、私は心臓が破裂しそうになった。
 質問の意図がわからなかった。けど、反射的に答えていた。
 何度もうなずいて、「あたりまえでしょ! この世界の中で……一番……好き」
 勢いで言った言葉があまりにも恥ずかしくて、言ってしまってからうつむいてしまった。
 まどかも照れているのか、頬をすこし赤らめた。そして、嬉しそうに微笑んだ。
「うん、そう言ってくれるって信じてた」
 彼女と一緒なら誰にも負けない。運命さえも変えられる。そんな気がした。
「君たちがどこまでやるか、見ものだね」
 インキュベータが捨て台詞を残して立ち去った。
 耳障りな雨音が聞こえる。
 私はまどかを抱き寄せる。
 言葉はいらなかった。
 その温かさがすべてを伝えてくれる。
 別れてからも、しばらくその余韻に浸っていた。
 ガラス越しの世界はすこし澄んで見えた。

 明くる日。
 都は巨大な台風の目に入り込んだかのように風は凪ぎ、なのに空はうなり声をあげ続けていた。
 私は隣に佇むまどかを横目で見やる。
「ほむらちゃん」彼女は前をじっと見据えたまま、独り言のように語った。「私考えたの。どうして、何度繰り返しても失敗しちゃったのかなって。……ほむらちゃんが悪いんじゃないんだよ。きっと私が……私のせいで辛い目にあわせちゃったんだよね」
「それは……ちが――」
「違わないよ。私ね。ほむらちゃんの気持ちを本当に理解してなかったのかもしれない」
 まどかはそこで口を噤んだ。
 足元を、白い霧が満たしていく。
「私が……いるから」
 手を取り、囁くようにまどかが言った。
 柔らかく、温かい手は、私の心を包み込んでくれるかのようで、不思議と不安が和らいでいく。
「なんだか、立場が逆ね」
 今までは、私が彼女を守る役だったのに。
 だけどまどかは首を横に振る。
「ほむらちゃんも、私を守って」
 彼女の言葉には勇気を、希望を湧き上がらせてくれる魔法がこめられているのかもしれない。私は強く彼女の手を握り返し、空を見上げる。
 大地が、空気が震えている。
 やがて幕があがる。
 魔女の破壊の限りの戯曲がはじまろうとしている。
 象に似た使い魔の行進が過ぎ去る。
 異空間はない。
 やつは自らを隠す必要などないからだ。
 それほどに強大で、圧倒的。
 具現し、再び夜が開けた頃には、立派な摩天楼も、まどかの住む町も廃墟と化す。果ては、世界すらも灰燼(かいじん)に帰す。何度も見てきた悪夢が目の前に生まれる。
 ――不安だよ。
 空に大きな歯車が現れ、透明な極彩色の花を咲かす。
 ――何度も何度も、打ち負かされて、心が折れそうになって、それでも立ち上がって、また何度も何度も大切な人がなくなるのを見てきた。
 不気味な笑い声とともに、巨大なドレスをまとい、逆さに浮く魔女、ワルプルギスの夜が目を覚ます。
 ――もう、おしまいにしましょう。
 周囲は一瞬にして瓦礫と化し、空を這う城壁と変わる。
 無数の使い間が、希望など、未来などあるはずがないと、嘲笑うかのように私たちを見下ろしていた。
 ――私には支えてくれる人が、大好きな人が、まどかがいる。
 もう絶対に負けはしない。広大な砂漠に埋もれた、小さな希望の一粒であっても、私たちはそれを見つけてみせる。

 まどかが私の背に回った。魔女はまだ仕掛けてこない。
「ほむらちゃん。考える限りで最高の武器をだして」
 耳元で言われ、その吐息を感じ、私はどぎまぎする。
 でも、迷いはなかった。苦難なく、それを形に出来た。
 何の装飾もなく、少し頼りない、まどかの武器を模した弓だ。
 今まで作り出すことの出来なかった、私だけの……。ちがう、私とまどかの、闇夜を払う二人の弓。
「ほら、構えて」
 魔女に向き、力を込めていわれたとおりにする。すると、突然まどかの手が添えられた。
「私が支えてあげる。矢をつがえて」
 優しく囁かれ、心臓が破裂しそうなくらいに鼓動していた。けれど、それで弓がぶれることはない。
 矢を形にし、つがえ、弦が張り詰められる。矢を引く手にも、まどかの手が添えられた。
 天へと矢の先が向けられる。焔(ほむら)をまとい、一直線に空を睨む。
 使い魔が己の危機を悟ったのか、押し寄せてくる。だが、その手が私たちに触れることはなかった。
 一瞬ひるんだかと思えば、その身は火炎に包まれ、哄笑を最後に溶けて消えた。
 まどかの魔力が私に注ぎ込んでいる。勇気が、力が湧き上がる。愛おしきこの想いが形を変え、魔女をあるべき場所へと還していく。
 空に向け、矢を放つ。
 鮮やかな紫と桜色の光が、二重螺旋を描き空へとのびていく。
 多くの魔女を道づれに、尾を引くみたいに線を描き、上へ上へ。
 音速を超え空気を切り裂くほどに力強く。
 反動でこっちが吹き飛んでしまいそうなほど。
 二色の打ち上げ花火のように、矢は空へと吸い込まれていった。
 厚い雲は一瞬にして掻き消え、晴れ渡る。
 さあ、花開け。
 果てがないように思える澄み渡った蒼に、薄赤の円かな輪が線でつながり、幾何学模様を織り成していく。
 花が種を落とすように、空から光の矢が雨となり降り注ぐ。
 使い魔はなす術もなく、打たれ、地へと落ちていった。
 巨大な魔女にも容赦なく襲いかかる。
 手を大きく広げ、全てを受け入れようとしているのか。
 服を散らし、歯車の歯が零れていく。
 魔女は狂ったように笑い続ける。
 最後の一片となるまで。
 その身が塵芥と消えるまでずっと、ずっと。

 とても綺麗な空。雲などどこにもない。蒼の天井は限りなく広がり、どこまでも、世界の果てまで同じ光景がつながってると信じてしまうくらい。
 星が落ちてくる。きらきらと。桜の花が散るみたく。放った矢の残滓だろうか。もうその役目を終えたのに、名残惜しそうに舞い続けていた。
 夜が、明けたんだ。
 私は薄く張られた水の水面に横たわっていた。
 あれっ? 前にも同じような光景を見たような……
 隣にはまどかがいる。私とまどかの手にはソウルジェムが握られている。二つの宝石は、今にも黒く染まろうとしていた。
 そう。繰り返してきた一ヶ月。そのうちの一回。まどかは私のソウルジェムにたったひとつ残されたグリーフシードを使い、彼女は魔女になった。
「また……駄目だったの?」
 悔しさに涙がこみ上げてくる。
 あの光景が、あのときの会話が閃光のように頭を駆け巡っていく。
 ――いっそ二人で魔女になって、世界をめちゃくちゃにしちゃおっか。
 怖いよ。魔女になんかなりたくない。絶望や恨み、妬みや怒り、そして悲しみ……。負の感情に囚われ、抜け出せない。それがどれだけ苦しいか、想像しようもない。
 まどかが何度も味わってきたこと。もちろん、ここにいる彼女は魔女になった彼女ではない。だけれど……。
 しばらく嗚咽を漏らし、大好きな、一番の親友……いえ。たった一人の、この世で一番大切な人を見つめる。
 まどかは微笑んでいた。
 ああ、どうしてそんな幸せそうな顔をするの? 私たちはもうすぐ――
「大丈夫だよ」
 彼女は言った。この日を迎えるまでに何度も私に言い聞かせた言葉を。
「でも、グリーフシードもないし。もう」
 首を横に振り、優しい声色でまどかは言う。
「グリーフシードなんて、必要ないんだよ」
「…………?」
「そう、はじめから間違ってたんだよ。心が苦しくなったとき、それを取り除くのに道具に頼るなんてのがそもそもおかしかったの。穢れってたまるだけじゃないでしょう。喧嘩したって、仲直りすれば怒ってたことも忘れられる。悲しみも、絶望だって、そんなのどうでもいいと思えるくらいの幸せがあれば、いつか置き換わってくれるんだよ。
 私、幸せだよ。ほむらちゃんといれて。
 ごめんね。いままで私を守ろうとしてくれたことに、気づいてあげられなくて。
 ねえほら、笑ってよ。私の大好きな、今のほむらちゃんに笑われたら、嬉しくて倒れちゃうかも」
 何を、言っているの? 助かる道がある?
 まどかの言葉は嬉しいけど、こんなときに笑えるはず……
 でも、彼女はあの天使のような微笑で私を見つめ続けている。今にも魔女となろうとしている人の顔ではなかった。心なし、ソウルジェムの穢れも薄れているように見えるのは、……気のせいではない。
「信じて、いいの?」
「いまさらだよ」
「うん。……そうだね」
 導かれるように、私は笑みを浮かべた。
「あ、ほむらちゃんだ」
「ふふ、今さらだよ。私はずっと私」
「そうだったね」
 まどかが笑い、私も笑う。
 胸の痛みがすっと溶けるように消えていった。だけど、ソウルジェムの穢れを吹き飛ばすほどではなかった。
 すると、まどかはごろんと横に転がって私に近づく。すぐそこに顔があって、私は心の蔵が鼓動を早めるのを感じた。
 彼女はうつぶせになると、上体をおこした。目を細め、頬を緩めて口を開く。
「魔女になっちゃうほどの呪いなら、それを超えるほどの想いじゃなきゃきっとだめなんだね。これまでの私は、想いが弱かったのかも。ねえ、前にほむらちゃんが言ってくれた言葉、覚えてる? 昨日、最後に私にくれた言葉」
「うん」
「あのときは、一方的だったね。
 私も、……世界の中でほむらちゃんが一番好きだよ」
「えっ?」
 一瞬何が起きたか分からなかった。
 まどかの顔がすぐそこにある。
 これ以上近づくことの出来ない距離に。
 口元が温かい。
 柔らかな何かが触れている。
 唇と唇が触れ合っている。
 幸せが満ちあふれてくる。
 目を閉じてしばらくずっと。
 息が苦しくなるまで私はまどかを感じていた。
 彼女は名残惜しそうに、ゆっくりと唇を離す。
「ほら、穢れなんて、こんなものなんだよ」
 私とまどかのソウルジェムは、すっかりもとの輝きを取り戻していた。
 乾杯の変わりに、私たちは互いのソウルジェムをカツンと触れ合わせた。
 そのあとは疲れきってしまったのか、落ちるように眠りについた。
 まどかと一緒にいれる、ずっと望んできた明日がやってくる。


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