癒し系てちゅがく漫画 『すみっこの空さん』
11 05, 2011 | Posted in 漫画 | Thema アニメ・コミック » 漫画
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絵本作家の夢を諦めた青年と、隣人の商学一年生、空さんとのなんてことない日々を描いた、哲学系漫画。
哲学に興味がなくても、気軽に手にとってみてよいかと思われます。描いていることは、『ARIA』と通じるところがあるでしょか。癒し系、そして大切なことを気づかせてくれる魅力たっぷりの良作です。
もっとも惹かれたのは、思考は光よりも早いというくだりです。なるほど、人は考える葦。また考えることによって自らが存在する。パスカルやデカルトがいったように、人は考える生き物。そして、考えること、それがそのまんま哲学なわけです。一般に学問としての哲学は、世の中の真理を明らかにするといった側面を持つ、いわば狭義の哲学。ならば、常にしている思考は、広義の哲学ではないでしょうか。考えることが人たるゆえん。考えなくてはもったいない。そんな思考欲が読了後にあふれてくるのです。
「タビの道づれ』が好きなら、間違いなくおすすめ。かの作品も、哲学的な要素がかなりありましたね。あれは、星というひとつの主題を扱ったもの。対して『すみっこの空さん』は、哲学をそのまんま漫画にしたもの。
いうなれば、『よつばと』や、『ばらかもん』の幼女キャラを殺人的に可愛くし、哲学という主題を見事に織り交ぜ、それが上手くはまった作品です。
亀のプラトンさん、ソクラテス顔負けの空さんが、どこか悩みを抱えた神さま(ニートの青年)や、女子高生の夕たちとともに、友達や人生についてさまざまな問いかけと、解決をしてくれます。彼らと一緒に、私たちも自然と哲学を学んでしまっているわけです。
こういう漫画がもっと増えて欲しい。そう思える素敵な物語集。疲れた日々の清涼剤に、600円は安いものです。
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