癒し系てちゅがく漫画 『すみっこの空さん』

11 05, 2011 | Posted in 漫画 | Thema アニメ・コミック » 漫画

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すみっこの空さん(1) (ブレイドコミックス)すみっこの空さん(1) (ブレイドコミックス)
(2011/09/10)
たなかのか

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 絵本作家の夢を諦めた青年と、隣人の商学一年生、空さんとのなんてことない日々を描いた、哲学系漫画。
 哲学に興味がなくても、気軽に手にとってみてよいかと思われます。描いていることは、『ARIA』と通じるところがあるでしょか。癒し系、そして大切なことを気づかせてくれる魅力たっぷりの良作です。
 もっとも惹かれたのは、思考は光よりも早いというくだりです。なるほど、人は考える葦。また考えることによって自らが存在する。パスカルやデカルトがいったように、人は考える生き物。そして、考えること、それがそのまんま哲学なわけです。一般に学問としての哲学は、世の中の真理を明らかにするといった側面を持つ、いわば狭義の哲学。ならば、常にしている思考は、広義の哲学ではないでしょうか。考えることが人たるゆえん。考えなくてはもったいない。そんな思考欲が読了後にあふれてくるのです。
 
 「タビの道づれ』が好きなら、間違いなくおすすめ。かの作品も、哲学的な要素がかなりありましたね。あれは、星というひとつの主題を扱ったもの。対して『すみっこの空さん』は、哲学をそのまんま漫画にしたもの。
 いうなれば、『よつばと』や、『ばらかもん』の幼女キャラを殺人的に可愛くし、哲学という主題を見事に織り交ぜ、それが上手くはまった作品です。

 亀のプラトンさん、ソクラテス顔負けの空さんが、どこか悩みを抱えた神さま(ニートの青年)や、女子高生の夕たちとともに、友達や人生についてさまざまな問いかけと、解決をしてくれます。彼らと一緒に、私たちも自然と哲学を学んでしまっているわけです。
 こういう漫画がもっと増えて欲しい。そう思える素敵な物語集。疲れた日々の清涼剤に、600円は安いものです。



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惜しい漫画が終わってしまった 境界線上のリンボ 雑感

04 03, 2011 | Posted in 漫画 | Thema アニメ・コミック » 漫画の感想

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境界線上のリンボ (1) (まんがタイムKRコミックス)境界線上のリンボ (2) (まんがタイムKRコミックス)

 先日発売され、完結しました「境界線上のリンボ」についてです。4コマ漫画の中でも、特に私の大好きな漫画ですので完結を期に取り上げたいと思います。
 まずはご存知でない方のために、簡単な紹介を。物語の主人公は、人間とエルフのハーフである少女フゥ。その境遇ゆえに人ともエルフともなじめず、逃げ出した先が『リンボ』と呼ばれる、異邦人の集まる地。ミミやシッポが生えてたり鱗がある方もいる。そんな場所でのフゥの日々を描いた作品です。
 百聞は一見にしかず。こちらで一巻の立ち読みできますのでご参考に。

 購入のきっかけは、店頭で表紙を見ての一目ぼれでした。空中に浮かぶ都市とか、人間以外の種族がいたりと、私の心がむんずとつかまえられたわけです。一コマの大きさを統一しない、独特なコマの使い方も魅力のひとつです。二巻ではコマの遊びがすくなくなったことがすこし残念ではありますが。
 主人公のフゥはどこか頼りなげ。ですが『賢者の回転翼』という店で先生とともに過ごし、様々な種族のヒトたちと過ごすごとに、彼女が何かを取り戻していく様。それは見ていてとても清清しいものが有りました。

 特にお気に入りなのが、魔法使いである、先生の師匠。一巻でも大好きだったのですが、二巻で登場場面が増え、彼女の存在が、この漫画を好きにさせてくれた大きな理由かもしれません。見た目は若いのに年寄りくさい発言したりするところがもう! ギャップ萌えというものですかね。

 一貫して描かれているのは、やはり人々のつながりの大切さでしょうか。種族は違えどいさかいなく暮らす。ある種の理想郷なのでしょう。そこに魅力を感じるわけであります。もちろん暗い面もあるわけですが。
 一巻においてはアポジーさんという自律機械に関するお話があります。なんでもありのつながりあいに、やはり心ひかれるものがあります。
 なぜそう思うのかと考えると、現実と重ね合わせているからなのかもしれません。民族の違い、肌の色、言葉の違い、それは現代においても間違いなくあるものです。その枠を超え、互いに手を取り合い暮らす。これは理想論であって、実際には永遠に果たすことのできないことだとでしょう。その理想を、作品のなかで描かれる彼らは追い求めているのです。
 その姿を見て思うは嫉妬か。いな、その影の部分をも克服するさまに抱くのは、憧れに他なりません。

 残念なのが、二巻で終わってしまったことです。このすばらしき世界観を描ききるには、すくなくとももう一巻はほしいものでした。
 4コマ漫画でストーリーものファンタジーものというのは、それだけで珍しいもので、貴重な一作が失われたものだと嘆いています。はじめて出会ったときに抱いた思いは、「棺担ぎのクロ」に代わる名作になれば、という希望です。ファンタジー4コマとして浮かぶのが白雪しおんさんの「SORA-そら-」。こちらも二巻で完結しています。こういった作品は二巻で終わってしまうという不文律でもあるのでしょうか。
 学園もの、キャラクター重視の作品は、個人的にはもうおなかいっぱい。そういった中で、貴重な一作が終わってしまったことを嘆かずにはいられないのです。
 なにはともあれ、鳥取砂丘さん、お疲れ様でした。素敵な作品をありがとうございます。

GIRL FRIENDS 雑感

01 06, 2011 | Posted in 漫画 | Thema アニメ・コミック » 漫画

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GIRL FRIENDS(5) (アクションコミックス)GIRL FRIENDS(5) (アクションコミックス)
(2010/11/12)
森永 みるく

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遅ればせながら全巻通しての感想となります。
最終巻が発売されたということで読んだのですが、多少前の話が頭から抜け出ていたので再読してみました。
いやあ、これはすばらしい。是非皆様も5巻一気に読んでみてください。軽く天国に行ってしまいそうになりますから。

「GIRL FRIENDS」を読んでまず良いなと思うのは、男女恋愛と女性同士の恋愛を平等に扱っている点なんですよね。
百合漫画は百合漫画なのですが、男女恋愛もかなりの割合で登場しています。それとメインのまりとあっこの友情、果ては愛情との対比。そこにひかれるわけです。
これは雰囲気は違えど「青い花」とも似ているような気もします。

ところで、この漫画って単行本になるの狙って描いているような気がしてなりません。1~3巻までは奇妙なほどに初めと終わりの展開が似ていました。
1巻分のはじめからすこし落としていくのかなぁと思ったら、最後に一気に上げるといった感じです。
これを超回復百合と名づけましょう。つまり、序盤で不安をあおる、これが筋肉の破壊。そして、最後に・・・がきて超回復。フィーバーです。
まさにジェットコースターのようなあげさげの末に4巻があるんですよね。
ここからは加速したジェットコースターが坂を上がってその先に道がなく、飛んでいってしまったような展開に入ります。
修学旅行編からは、百合好きにとって楽園かと思ってしまうかのような甘い展開に感服しました。
あのドキドキがたまらない!

5巻で終わったのはほんとにちょうど良かったような気がします。打ち切られずに、最後までしっかりと描ききった百合漫画のひとつの成功例といえるのは間違いないでしょう。
ドラマCDも聴きたくなります。

森永みるく先生、本当にお疲れ様でした。
次回作も期待しております。
ではでは、百合に幸あれ!

つぼみVOL.8、この靴しりませんか?

10 14, 2010 | Posted in 漫画 | Thema アニメ・コミック » 漫画

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「つぼみVOL.8」と「この靴しりませんか?」の雑感です。
簡単にしようと思ったら、ちょっと長くなってしまいました。

実はつぼみはVOL.4から入って、全部集めました。
蒼樹うめ先生のイラスト目当てだったんですけどね。
ほんと、VOL.4は絶対読むべき。

と、それは置いておいて。VOL.8について、一部雑感。

玄鉄絢先生の「星河銀座四丁目」は過去編に入ったのかな。たしかに単行本分ではかなり軽く描かれていましたから、気になるところですね。
森永みるく先生の「ひみつのレシピ」は今回ボリューム多かったですね。かなり際どい描写とかもありました。眼福。
かずといずみ先生の「めとらば」後編がかなり好きです。二話で完結なのがもったいない。小桃と藤先生の関係がもっと見ていたい。
やっぱりコダマナオコ先生の「レンアイマンガ」が一番好き。黒井先生が可愛すぎです。かなり動いてきた感じです。次回が気になる。
吉富昭仁先生の「しまいずむ」は……今回も暴走してました。

かなり省略しちゃいましたが許しとくれ。
あげたのは連載ものが多いのですが、というのも、連載ものの割合が増えてるからなんですよね。もうちょっと読み切りを増やしてもいいんじゃないかとも思うのですが。
ただ、今回も全体的に安定して面白かったです。ボリュームたっぷりでかなり厚いんで本棚が大変なことになってます。


お次につぼみVOL.8と同時に発売された「この靴しりませんか?」について。

この靴しりませんか? (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)この靴しりませんか? (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)
(2010/10/12)
水谷 フーカ

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やっぱり表題の「この靴しりませんか?」がすばらしい。さらに書き下ろし「金の靴、銀の靴」でこの話の裏話が描かれていて、これは単行本買う価値あったなぁ、と感じました。

全体的に見ると淡い百合が多いんですけど、この絶妙の淡さ加減がたまらないんですね。ああ、なに言ってんだかわからない。

個人的に一番好きなのが、つぼみ至上最高と勝手にあがめるつぼみVOL.4で掲載されていた「わたしのアヒルの子」。
はじめは千穂が眼鏡とっちゃうの? と危ぶみましたが、最後にきっちり眼鏡かけてたようで安心。ってどこに注目してるんだか。
やっぱり美加のあの発言が良いんですよね。惚れるくらいのかっこよさです。
爽快百合とでもいいましょうか。心から良かったといえる作品だと思います。

つぼみVOL.8では水谷フーカ先生の作品がなかったのですが、次回はあるみたいですね。楽しみ。

こちらで立ち読みページがありますので、気になったら読んでみてくださいね。







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樹

似非店員:樹
百合、SF、ファンタジーが好きな人です。
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